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世界がたとえひとりの夢だろうと〜『GANTZ:O』レビュー

こんばんは、アキラです。

きょうは映画『GANTZ:O』の「ネタバレなしで紹介&ネタバレありで感想」をやっていきましょう。
これをレビューと呼ぶかは知りません、たぶん違います。

 

なぜかというときょう(2017年2月22日)円盤が発売され、もうすぐ(3月8日)レンタルが始まるからです。
上映館が少なかったこともあり、「レンタルでいいか……」とスルーしてしまった人もいたことでしょう。
この記事を書いてる途中にNetflixでも配信が始まったので(マジかよ)、この機会にぜひ観てもらいたいと思います。

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原作となった奥浩哉先生の『GANTZ』は2000年から2013年までヤングジャンプに連載されていたマンガです。
死んだはずの人間が謎の黒い球・ガンツによってアパートの一室に転送され、謎の怪物「星人」たちを殲滅するミッションを課せられます。
その特徴的なエロ・グロ描写や、不条理ともいえる謎やデスゲームを描いたストーリーから、ゼロ年代を代表する名作として知られています。

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2004年にはアニメ・ゲーム化。

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仏像編まで+オリジナルでした。OP最高。

2011年には前後編で実写映画化されました。

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僕はけっこう好きです

そして2016年、原作中盤の一大イベント「大阪編」をフルCGで映像化したのが、本作『GANTZ:O』です。

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 「必ず、生きて帰る」という、まあ邦画の予告でよく見るテーマ。GANTZだと重みが全然違って見えますね。

ガンツのミッションは基本的に東京で、数体の星人を相手に行われていたのですが、このミッションでは大阪を舞台に多数の妖怪軍団(に擬態した星人)と戦うことに。
大阪チームも初登場し、「複数のガンツ(黒い玉)」の存在が示唆されました。
極限状態で生まれる愛や友情、理不尽で絶対的な存在との対峙など、『GANTZ』の真髄が詰まったエピソードですね。
本作では映画化にあたって設定が多少変更されているほか、登場人物の数も大きく削られています。

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この「原作との相違点」こそがこの映画の最大の魅力なのですが、それに関して詳しくは後述します。

フォトリアルなフルCGアニメというと『Appleseed Alpha』や『キャプテンハーロック』、『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』とかがありますね。どれも映像のクオリティが素晴らしく、海外からの評価も高いと聞きます。
あとまあ、なによりメカと女の子が最高

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Appleseed Alphaより。

『GANTZ:O』でも、CGで完全再現された大阪・道頓堀を舞台に、CGのキャラクターたちがCGの妖怪軍団と死闘を繰り広げます。

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このキャラクターデザインといい、

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この妖怪軍団の気持ち悪さや質感といい、

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このGANTZウェポンの重厚さやリアルさといい、国産CGの底力を見せつけられます。

本作は映像だけでなく脚本の面でも評価できます。脚本家は黒岩勉氏。
最近だと『ONE PIECE FILM GOLD』とかを手がけられており、無駄がなくキチッと筋の通った脚本を書かれるイメージです(セリフがくどいこともたまにあるけど)

 

……正直、公開されるまではメチャクチャ不安だったんですよ。
映像に関しては、予告編やテスト映像がいくつか出ていたのでまだ安心できたのですが、
ストーリーの面では「GANTZからいきなり大阪編だけを映画化」とか「登場人物を減らしてパラレルでやる」とかの情報しかなく、「『GANTZ』の映画化としてどうなのか」「一本の映画としてどうなのか」などという不安が尽きませんでした。

しかし、フタを開けてみるとこれがもう超絶大傑作
映像は期待していた以上のクオリティでしたし、脚本も「原作ファンだからこそ楽しめる要素」と「原作を読んだことがないからこそ楽しめる要素」が見事に両立したすばらしいものでした。

詳しい感想は以下に。‪

原作ファンにもはじめての人にも、映画しか観たことがない人やむかし読んだきり忘れちゃってる人なんかにもすべからく超オススメの作品です。まだ観てない人、ぜひ観てみてください!マジで!

 

 

以下、『GANTZ:O』のネタバレがあります

 

 

ここからはネタバレ全開で語っていきましょう。
先述のように、僕がこの映画の白眉だと感じたのは「原作との相違点」です。
言ってしまうと「原作から途中だけぶっこ抜いて映画化する」ことになるワケなので、観るまではホントに不安でした。
聖闘士星矢とかハーロックも映像のクオリティは高かったけど、脚本がいまいちノリきれなくて……(ところどころ好きなシーンはあるんですよ、もちろん)
もしかして最初に回想で大阪編までのダイジェスト挟むのか?とか、逆に初見を完全無視してホントにそのまま映像化するのか?とかも考えたりして。

 

ところがどっこい、本編を観られた方にはもうおわかりでしょうが、今作ではなんと
「加藤が一度解放されていた」
という設定がラストに明かされました。

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この大仕掛け一つによって、この作品が「独立した一本の映画」として完成するだけでなく、
「"抜き出しただけ"でも"ただのパラレル"でもない」ことで原作ファンにも楽しめ、
「主人公が記憶のなくなった加藤である(未知のデスゲームに初めて参加する状態である)」ことでGANTZを知らない初見の人にも楽しめるというワケです。

この大ネタ以外にも、一本の映画として楽しめるよう(しかも、GANTZらしさを壊さない程度に!)細かい変更点がいくつかありました。


・武器の仕様変更。Xガンの射程距離や弾数制限、ロックオン機能のオミットによって緊張感が高まったほか、レーダーが標準装備に。UIも大きく変更されました。

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結果的に武器の取り回しもシンプルでわかりやすくなったし、UIも今作のCGの感じに合っててとても良いんじゃあないでしょうか。

 

・本作オリジナル武器、巨大ロボの刀。
GANTZにおけるプレイヤーたちのの最大戦力・ガンツロボ(仮)
本作でも大阪最強の男・岡八郎が操縦していましたが、その武器であった巨大な日本刀は原作に存在しないオリジナルの武器です。

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このバチバチエフェクト!オリジナルなのにGANTZっぽさ全開でした

 

・制限時間に関するルールの変更。原作ではタイムアップすると0点に逆戻りするだけですが、本作では全員死んでしまうという設定に。きびしい!(どうやってそのルールを知ったの?とも思いますが、たぶん普通にガンツが教えたとかでしょう)

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これらのルールや仕様をおっちゃんやレイカのセリフによってちゃんとひとつひとつ把握できるようにしてあったのも良いですね。

 

・登場人物の大幅削減。
これに関しては賛否両論というか、仕方ないこととはいえやはり魅力的なキャラクターたちの多くが登場できなかったのは残念に思います。
むしろ、映画化に当たってどうしても登場人物を減らさなくてはならなかった状況の中では最高のアレンジがなされた、とも考えられます。

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吸血鬼コンビも見たかったなあ。この役割は西くんに回されてました。
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東京チーム最強・風。実は後ろ姿だけ登場はしてるんですが、彼の戦いも見てみたかった……
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妖怪軍団だと犬神も好きです。天狗と対をなすぬらりひょんの両腕。カットされてしまい残念!

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あとは般若・小面コンビ。こいつら不気味で大好きなんですよね。刀を駆使した高速バトル見たかった……

 

登場人物が減ったことで、結果的にラストバトルに全員がちゃんと参加できたのは良かったと思います。英雄・玄野の不在の中、加藤に触発され「意思受け継いでいく」ことを決意する構造も好きですね。

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ちなみに、実は遺影の並ぶシーンで見知った顔がたくさん並んでました。風やタケシだけでなく岸本や桜井、師匠、稲葉、和泉の姿まで確認できます。あと千手の時のミリオタとか空手家なんかもいますね。

 

では、このへんでその登場人物の話に移りましょう。
まずはやっぱり主人公である加藤、そして玄野でしょう。

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「やるしかないんだ!」という、GANTZの物語全体のテーマのひとつでもある言葉を軸に二人の主人公が重なるシーンはお見事。
声優は小野大輔梶裕貴。アニメやVOMIC、実写版などでこれまで様々なキャストが演じてきましたが、その中でもダントツ一番ピッタシのキャスティングだったと思います。
前売り券を買った時の特典がこの二人の登場するボイスドラマだったのですが、これも非常に良かったですね。(GANTZのはじまり、電車に轢かれるシーンでした。)

 

次は名脇役、鈴木のおっちゃんです。

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このおっちゃん感!

どんな絶望的な状況の中でも他人への配慮を欠かさない、優しいおっちゃん。
臆病にも見えますが、本編冒頭のオニ星人との戦いでも玄野をサポートしたり、身を呈して加藤をかばったりと、実は非常に肝の座った人物であることが見て取れます。
声優はあの池田秀一氏。さすがベテランの技巧とも言うべきか、頼りないおっちゃんの声を見事に演じておられました。予告編の「大阪……!?」のセリフだけでも100回はリピートしましたからね……

 

お次は西くんです。

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この憎たらしい顔!

原作大阪編ではそこまで活躍してなかった西くんですが、今回はメインで大活躍(?)
彼の代名詞であるステルスもカッコイイし、序盤にヤクザをブッ殺したのもつかみのインパクトとして十二分だったんじゃあないでしょうか。
声を演じたのは俳優・郭智博さん。あんまり声優をされてるイメージはなかったんですが、これがまたメチャクチャ良い西くんでした。
本郷奏多の実写版西くんも超ハマってましたが、こちらもなかなかの再現度でしたね。
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どハマり。後編のコピー西くんも好きです

 

そしてヒロインのレイカ
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二人とも映像化はたぶん初ですね。
本作のレイカは玄野を亡くした直後なのもありちょっと陰のある感じ。エロい!!
エロ目線ついでに言うと、胸が水風船のようにバルンバルン揺れるんじゃなくて重量感のある挙動なのがよかったですね。ガンツスーツの擦れる音とかの細かいこだわりも評価できます。
これは冗談でもなんでもなく、最新技術というものはすべからくエロ方面に向かう時に進化しますからね。

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超かわいい

杏はちょっとベラベラしゃべりすぎですが、原作通りだからまあ許せちゃう。演じたのは声優として大活躍中の市道真央ことM・A・O。演技の幅がメチャクチャ広くてステキですね。おれはゴーカイイエローの時から好きだったぜ!!(老害古参アピール)(たぶんみんな好き)

 

忘れちゃいけないのが芸人トリオ

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レイザーラモンHG・RG、そしてケンドーコバヤシが大阪の強豪メンバーである島木室谷、そして最強の岡八郎を演じました。
ぶっちゃけ彼らに関してはぜんぜん不安じゃなかったんですが、予想以上にいい演技されてましたね。特にRGのノブやんがいい味出してました。

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今回のラスボス、100点ちゃうか?

 

あとは主題歌も良かったですね。ドレスコーズの人間ビデオ』です。

歌詞はまさしくGANTZという感じ。疾走感バリバリで最高です。このMVは良すぎたので公開されてから毎日十数回は観てました。
あとカップリングの2MC & 3次元』もまた良いんですよコレが。

梶裕貴・小野大輔の二人が歌う(?)キャラソン仕立て。原作中のセリフを盛り込みまくってます。
残念ながら配信はされてないので(たぶん。情報求む)、CDのGANTZ:O盤を買いましょう。

 

人間ビデオ【GANTZ:O盤】

人間ビデオ【GANTZ:O盤】

 

ここまで大絶賛してきましたが、モヤモヤするポイントもなくはありません。
まずは序盤、加藤が通り魔に殺されてしまうシーン。

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ココなんですが、せめて通り魔に一矢報いてほしかったんですよね……
刺されながらもなんとか体当たりで気絶させるとか、あるいは最悪手出しできないまでも襲われてたおじさんだけは逃げ出せるとか、そういう描写がほしかったのが正直なところ。

 

次に、これはもう完全にケチをつけるだけになっちゃうのですが、思ったからには書かないわけにはいくまい。通天閣のシーンです。

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道頓堀から通天閣、見えないんですよ。
このへんはよく遊びに行くんですが、他のシーンではちゃんと道頓堀が再現できてただけにどうしても気になっちゃって……
もちろん通天閣から街を見下ろすぬらりひょんは迫力があって良かったんですけどね。

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串カツを食べるふたり。二度づけし放題やな!
実際のロケ地(というか、モデルになった場所)はココですね。通天閣の真下にある壱番です。

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近くにはづぼらやのフグ提灯もあります。

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メインの舞台となった道頓堀の戎橋からリアルに歩いて行くとだいたい30分近くかかるのですが……
矛盾しないようこじつけると、本作では原作にあるエリア制限のルールが説明されなかったため、そもそもそんなルールが存在しない、という可能性もあります。
まあそれにしたっていくらなんでもミッション中に余裕かましすぎな気はします。わざわざこの店の串カツ食うために無人の道をガンツバイクでカッ飛ばしたんですかね……(やりそうだけど)

主なモヤモヤはそれくらいですかね。

 

これだけの超絶大傑作を観てしまうと、やっぱりこれからの展開も期待しちゃうのがオタクの性
本作のパラレル具合に合わせたねぎ星人〜オニ星人までの前日譚をこれくらいのクオリティでやってもらって(なんならCGじゃなくてアニメでもいいから……)、カタストロフィ編をベースに最終章を映画で!みたいなことやってくれたら最高なんだけどなあ。
あと、去年は文庫版も刊行されましたが、個人的には『GANTZ:OSAKA』みたいな大判の完全版で読みたいところです。

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……いろいろ書き殴りましたが、言いたいことはだいたい言えた気がします。
とにかく言いたいのは、単純にメチャクチャ面白かったということですね。
劇場で観た人も、ぜひネトフリやレンタルでもう一度観てみてください。

なんならここから原作を読んでみるのもいいと思います。違いを楽しむのもいいし、最初から読んでみるのもアリだと思います。

あと何より、円盤を買ってください。
だっておれが続編観たいから!!!

 

お読みいただきありがとうございました。